2010年7月3日土曜日

調停申立書の書き方


※内容的には2003年当時のままです。現在と異なる状況も考えられます。参考程度にどうぞ。


それでは、調停申立に必要な書類を準備していきましょう。


調停申立書


文字通り、調停を申立てる書類です。


簡易裁判所に雛型がおいてありますので、それに書き込んでいってもいいですし、自分で作成してももちろんOKです。


この書類は、調停の相手方へも送付されますから、それを考慮して書きます。


つまり、調停前に、相手に知られたくない事項、例えば、自分の主張を裏付ける重要な切り札についてなんかは極力記載しない方がいいです。





申立から、調停までは通常、約1ヶ月以上期間が空きます。


と、いうことは、ここで、いろいろ書いてしまうと、相手に法律相談なんかに行かれて、 こちらの主張に対する準備をされてしまう可能性があります。


それを避けるためにも、必要最低限の記載のみにした方が得策です。


それでは、申立書の項目について。


  1. 表題



    文書の表題です。

    「調停申立書」と、センタリングして書きます。



  2. 日付



    これは、きっちり、提出する日付ではなくてもOKです。

    あまりかけ離れた日付では受理されないと思いますが、2,3日のづれは問題ないみたいです。

    これは、右に寄せて記載します。



  3. あて先



    左寄せにて、「次のとおり調停を申立てます。」とし、改行して、「○○簡易裁判所御中」と記載します。



  4. 申立人住所、氏名、捺印、電話番号



    左寄せにて、「申立人住所」とし、かっこ書きで郵便番号、そのあとに住所を記載します。

    改行して、「申立人」とし、「氏名 ○○ ○○」のように記載して、そのあとに自分の印鑑を押印します。

    改行して、上記でかっこ書きした郵便番号の下辺りに、同じようにかっこ書きで「(電話番号)」とし、電話番号を記載します。



  5. 相手方住所、氏名、電話番号



    上記4と同じ要領で記載します。

    違うのは、印鑑を押さないことだけですね。相手の印鑑は押せませんから、当たり前ですが。



  6. 申立の趣旨



    相手方に、どのようにして欲しいのかを記載します。

    早い話が、「金返せ」なんですが、いついつ支払った物の内、いくらいくらを返還せよ、といった感じで記載します。



    (例)



    相手方は申立人に対し、下記1の(2)の物件の賃貸借契約終了時に退去精算金として支払った

    敷金、契約最終月の日割家賃残額、指定口座宛て送金した追加金額の合計金額、

    金○○○○○○円のうち、金○○○○○○円を返還せよ。



  7. 紛争の要点



    これがメインです。気合を入れて、慎重に作文してください。

    いわゆる「敷金トラブル」での調停ですから、一応、決まり事がありますので、それを書いた上で、あとは自由に作文して構いません。

    つまり、どうしてトラブっているのかを書くところです。



    以下のように記載します。







    紛争の要点



    1、 賃貸借契約の内容 申立人は、相手方との間で、(2)の物件について、次のとおり賃貸借契約を締結し、引渡しを受けた。

      (1) 契約日   平成○○年○○月

      (2) 契約物件   所在  ○○県○○市○○町○丁目○番○号

                 名称(アパート名等)及び棟室番号  コーポ○○○○ ○○○号室

      (3) 賃借期間 ○年 その後、○年ごとに更新

      (4) 賃料    1か月金○○○○○円

      (5) 差入れた敷金の額 金○○○○○円

      (6) 敷金返還についての約定

              (例)未納家賃・損害金・その他賃借人が負担する債務を敷金から差し引いて残額を返還する。

                 債務を完済するのに不足する場合には、不足額を賃貸人に支払う。(注)

      (7) 原状回復に関する約定

              (例)本契約締結時には契約書に明確な記載なし(注)



    2. 賃貸借契約終了日     平成○○年○○月○○日



    3. 物件を明け渡した日    平成○○年○○月○○日

                                        」



    注:これは、あくまで例文ですので、当然、(例)のところは、それぞれの契約事項、事情により異なってきます。

      記載する項目自体はこの通りで構いませんが、内容は参考程度ということで。





  8. その他参考事項



    ここに、上記項目意外に、ぜひとも(?)調停委員に知らせたい事項を記載します。



    私の場合は、相手方の母親との契約でしたが、その後、お亡くなりになり、息子のA氏を相手方にしての争いとなりましたから、その旨を記載しました。

    そのほかにも、調停を申立てるに至った経緯や、返還金額についての明細なんかを記載しておくといいかもしれません。

    ちなみに私は、この明細は別紙にて提出しました。

    いづれにしても、前述の通り、あまり詳細なことは記載しないことです。



    逆に、裁判所で、「こういう記載をして欲しい」を言われたことだけを追加して書き足す、という方がいいと思います。



  9. 添付書類



    最後に、「添付書類」と記載して、添付する書類の一覧を書きます。



    まず、争いになっているアパートの登記簿謄本。これは必ず添付しないといけません。

    最寄の法務局で手に入れます。



    あとは、 賃貸借契約書の写しや、相手からの請求書なんかですね。

    この添付書類も、少ない方がいい訳で、用意だけはしておいて、調停の場において、必要な書類を出していった方がいいと思います。



    私の場合は、契約書を処分されてしまいましたので、契約証明書を作って、仲介人に押印してもらいました。それを添付しました。

 

物件目録

該当する物件(アパートですね、ここでは)の目録です。

この書類も、裁判所に雛形がおいてありますので、貰ってきて必要事項を記入すればOKですし、

自分で作っても構いません。

記入する事項は、前述の「登記簿謄本」を見ればわかりますので、よく読んで、必要な事柄を記入していきます。



これを、申立書の最終ページとして一緒に閉じて提出します。

だいたい、3枚くらいになるはずですね。

記載事項


  1. 表題



    「物件目録」と、センタリングして表題を入れます。



  2. 建物の表示



    「建物の表示」と左寄せにて記入します。



  3. 所在



    その下に、「所在」として、物件の所在地を記入します。



  4. 家屋番号



    同様に、「家屋番号」として、家屋番号を記載します。



  5. 種類



    「種類」と記載して、今回の場合は、「共同住宅」とします。



  6. 構造



    登記簿に書いてある通りに記入します。

    「構造」として、例えば、「軽量鉄骨造 亜鉛メッキ瓦葺 2階建」という感じで。



  7. 床面積



    「床面積」として、登記簿どおりに記載します。



  8. 付記



    「上記の建物のうち、○階 ○○○号室」

    「床面積  ○○、○○平方メートル」



    と記入します。

    アパート全体のうち、自分が住んでいた部分を書くわけです。

 

金額の明細



私は、最初、この書類は添付しなかったのですが、裁判所に求められて、あとから提出しました。

要は、申立書に記載した金額についての明細が分かればいいので、 計算した根拠まで書く事はありません。

前述の通り、相手に送られてしまう書類ですので、こちらの手の内を晒すような事は、極力避けてください。

裁判所で、もっと詳しい経緯がわかったほうがいい、と言われるかもしれません。

でも、「それがわからないと受理して頂けないのですか?」と切り返しましょう。

おそらく、「いや、受理はしますが・・・」といった答えになると思います。それでいいと思います。

詳しいことは、調停当日までにまとめて、調停委員に示します、という感じで、上手く逃げましょう。



何度もくどいようですが、提出する書類は、少なければ少ないほどいいんです。

証拠、根拠は、必要に応じて、小出しにした方がいいと思います。

 

ここに出てきた各書類の見本を見たい、という方はメールにてご連絡ください。

また、民事調停についてのQ&Aはこちら。




※この記事は、2003年7月にまとめたものを一部改稿したものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。


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