2010年7月3日土曜日

ドキュメント・退去精算金返還一年紛争 第5章


※内容的には2003年当時のままです。現在と異なる状況も考えられます。参考程度にどうぞ。

第5章
調停 (開始編)



さて、いよいよ調停当日となりました。

10:00の呼び出しですので、多少早めに出掛けることにしました。
こちらから申し立てをしたのですから、常識的にも遅れる訳には行きませんし、待合室で、想定問答にもう一度目を通してもいいかな、とも思いましたし。

自宅から裁判所までは歩いても10分掛からない距離。
でも、今回は、手持ちの書類なんかもあるし、車で行くことにしました。

案の定、早く着きました。約25分前。

で、裁判所の駐車場に車を停めようと、バックして枠に収めていたとき、ややや、見覚えのある風体の中年男性を助手席に乗せた車が目の前に。
運転手の中年女性も、これまた見覚えのあるお姿。

A氏と、C子氏のご登場です。

時間より、だいぶ早めに来たようですね、向こうもやる気まんまんと言ったところでしょうか。
A氏を降ろして、C子氏運転の車は帰っていきました。
これから調停を行う相手に、まさか裁判所の玄関前で会うとはねぇ・・・
なんて素敵なタイミングなんでしょ。
しかし、ここはクールに、軽く会釈だけして、裁判所の中に入りました。

受付に挨拶して、2階にある申立人控室へと入りました。

カラオケ屋の一部屋くらいの広さです。喫煙室が併設されています。
喫煙者の私としては、 いまどき、ありがたいご配慮。
当然、まっすぐ喫煙室へ入り、まず(-。-)y-゚゚゚です。

予定通り、想定問答や、申立書なんかにもう一度目を通しながら、調停開始の呼び出しを待ちました。

10:00ちょっと前でしょうか、予想外の人物が私を訪問します。
仲介人の担当者、B氏です。A氏め、呼んだな。

B氏いわく、
「仲介人として、また、宅建業者として、意見を求められる場合があると思いまして、出来れば同席させて頂こうと思ってます。」
言い訳としては、まあまあですね。
これは間違いなく、A氏に頼まれてますね。呼び出し期日も知ってるわけですし。


B氏と2,3会話を交わしているうちに、調停委員から、開始するので調停室に入るように呼び出されました。

調停室に入ると、既にA氏が中にいました。他に調停委員が2名。
おかげさまで、相手の味方と同時に部屋に入るという、なんとも間抜けな展開になってしまいました。

一通りの挨拶を済ませて、調停委員1が申立書に目を通します。

調停委員1
「・・・えー、要するに、払い過ぎたと思われる退去精算金を返還して欲しいと、こういう事実関係でよろしいですね。」

桃
「 はい、そういうことです。」

A氏
「ちょっと待ってください、私としましてはですね、一度納得して支払ってもらったという事で、既に契約は終了していると思っている訳ですよ、それを半年以上過ぎてですね、返してくれと言われましてもね、これは無効ではないのかと思いますが・・・」

やっぱりそう来ましたか、想定どおりの展開です。この展開に対応する用意は万全です。ところが・・・

調停委員1
「あのね、民法の解釈からしても、まだ時効って事はないですよ。
余計な支払いをしてしまったな、と気が付いて、そのあといろいろ調べて、そうしたら、人間の知恵が回るのには半年くらいは掛かっても、これは長すぎるとは私は思わないけどねぇ。」

A氏
「・・・・・」

調停委員1
「この件について、桃さん、どうですか?」

おっと、予想だにしなかった展開。
こっちが言いたい事を言ってくれた感じです。好感触>^_^<

桃
「はい、私の考えとしましては、これは、錯誤により支払ったもので、消費者契約法第4条1項1号により、返還を求めることが出来ると考えています。
また、 同7条により、時効前に返還交渉を開始していますので、何ら問題はないと考えています。」

この間に、調停委員1に電話が入ってしまい、話は調停委員2が聞くということに。

調停委員2
「分かりました、エーとですね、消費者保護法の、何条でしたっけ?」

桃
「(おいおい、ちゃんと聞いてろよ)第4条の1項1号です。」

調停委員2
「それにより、返還を求められる、と。」

桃
「そうです。」

私からの話を聞き終わったところで、調停委員1の電話が終わり、調停委員2がいきさつを申し送っています。
どうやら、調停委員1のほうが、上司というか、メインな存在で、調停委員2はサポート的存在のようです。

調停委員1
「通常の考え方ですとね、桃さんは10年住んでいた訳でしょう、そうすると、壁紙の交換なんかは貸し主負担で修繕する、というのが一般的ですけどね。それと、ハウスクリーニング、これも、ガイドラインでは貸し主負担だよね、その辺は仲介人、承知している訳でしょう?」

B氏
「もちろん承知しています。しかしですね、顧問弁護士に相談したところ・・・」

ん?顧問弁護士なんていたの?

B氏
「ガイドラインというのは、悪質な大家に対して作成されたもので、法的な拘束力は・・・」

やはり、そう来ましたね。こちらも予想通りの模範解答というか。
まあ、前々から、そんな事言ってましたからね。

調停委員1
「でも、知っていた訳でしょう、ガイドラインによる計算方法は。」

B氏
「・・・・はい。」

調停委員1
「知っていたのに、こういう請求を出した訳ね?」

なんか、非常に好感触になって来ました。
私が発言する間もなく、彼が言いたいことを言ってくれちゃってます。
心の中でガッツポーズ、しかし、表情はあくまでクールに。

そのあとで、A氏とB氏、とんでもない発言を始めます。

A氏
「しかしですね、桃さんの場合は、通常の使い方では考えられないほど汚されてまして・・・」

なんだと!言ってくれるね。今まではそんな事、一度も言わなかったくせに。

B氏
「そのままでは、明らかに、次の借り手がつかない事は明らかでして・・・」

調停委員2
「でもね、これ(壁を指差して)なんてね、(償却期間は)5年だよ、普通。」

調停委員1
「まして、10年の入居でしょう、これを入居者の負担とするのは、どうかと思いますよ。」

B氏
「それで折半ということにしているんですが・・・貸し主は、30万円以上出してますし。」

と、明細を出してきました。

調停委員1
「どれどれ、これね。」

目を通しています。

A氏
「私もですね、好きで賃貸住宅を経営している訳ではなくて、親も高齢になってきて動けなくなりますし、
畑を遊ばせておくのももったいないので、こうしてやっている訳で、納税も高額なものになりますし、
決して儲かっている訳では・・・」

調停委員1
「それは、あなたの都合でしょう。
だからといって、入居者には関係ないでしょう、そういう事は。」

相手側が言い訳をして、それを調停委員に諭される展開が続いてきました。
調停委員1も、なんとなくイライラしてきた感じです。

調停委員1
「よし、それじゃあねぇ、桃さん、あなたの言い分は大体わかったから、 一度席を外してくれないかな?
こちら(A氏とB氏)の言い分を先に聞いちゃうから。」

調停委員2
「呼びに行くまで、控室で待っていてください。」

桃
「分かりました。」

やれやれって感じです。
ここで、一旦退席して、控室へと戻りました。

これまでの感触としては、なかなか良かったので、もしかすると、結構な金額を取り返せるかなぁ、と思っていたのですが、やっぱり、調停っていうものは、お互いの言い分をよく聞いた上で進みますので、そう甘いもんじゃありません。

わたしも、それを思い知らされることになります。





※この記事は、2003年7月にまとめたものを一部改稿したものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。


ドキュメント・退去精算金返還一年紛争 第4章


※内容的には2003年当時のままです。現在と異なる状況も考えられます。参考程度にどうぞ。

第4章
交渉決裂
 


やっと、という感じで行われた協議です。
この協議に至るまで、交渉開始から半年以上経過しています。

この協議の場に、A氏は奥方C子氏を同伴してきました。
以前、小耳にはさんだ話では、どうやら、尻に轢かれている感がありそうで、この返還交渉も、どちらかというと、C子氏のほうが「返さなくてもいい」意見だということです。なるほど、一筋縄では行かないようなお顔であります。

こちらは、1人で敵地に乗り込んでいるというのに、A氏側は、奥方、B氏の3人体制。
3対1では、私のほうが多少部が悪いのは明白でした。
B氏は、一応、紳士的に中立な立場としての参加、ということでしたが、私が感じたのは、精算方法そのものを否定されてしまうと、今後の仲介業務に支障があるのでしょう、正当な計算方法であることを強調しています。
と、いうことは、どちらかというとA氏よりの立場、ということに変わりはなく、やはり3対1での交渉である、ということです。

私は前述の「返還希望金額についての明細」と題する文書をA氏に見せて、(以前、仲介人に渡してあるのに、仲介人はどうやら見せなかったらしいですね。やれやれです。)
金額についての算出方法など、精いっぱいの説明をして、返還してくれるようにお願いしました。
また、請求額を減額譲歩して、何とか話をまとめようとしました。

ここでも、A氏の主張は、
「一旦払ったんだから、もう時効」説です。
多分、それくらいしか、反論のしようが無いんでしょうね。

金額については、A氏も、最初は渋っていたのですが、一応の金額が提示されました。
敷金分52,000円でどうか、だそうです。
これじゃあ、話になりません。こちらとしては、敷金と、日割家賃の残額くらいは譲ってもいいかな、っていう思いでしたから。
つまり、私の返還希望額は、この時点で約110,000円にまで譲歩していた訳です。

それじゃ話しにならない、っていうことで、A氏に訴えたところ、それでは、あと2万上乗せしてやってもいい、なんていいだしました。
本当は払いたくないけど、いろいろ言われるから、それで最大最終の金額提示だそうです。
と、いうことは72,000円。まだ金額に開きがあります。

実は、今回の協議では、予め、譲歩する限界を決めていまして、それを下回るような場合は、裁判所のお世話になるという決意で臨んだ話し合いです。
その金額が110,000円ラインというわけでして、これ以上、こちらとしても譲歩は出来ません。
A氏との話も膠着状態となり、これ以上お互い譲歩は出来ない訳ですから、和解も出来ません。
ここで払ってくれないと、裁判所での決着になりますよ、という話も出したのですが、A氏は、72,000円で納得できないなら、裁判も止む無し、という考えだそうで、それでは、裁判所で決着をつけましょう、ということになりました。

交渉は決裂しました。

早々に協議の場から退席した私は、正直、はらわたが煮え繰り返ってましたが、ここで熱くなってもしょうがありませんから、どのような手段で訴えるか、その検討に入りました。
そして、出た答えが「調停」です。

すでに、最後の内容証明郵便にて、A氏は「返還には基本的に同意」しているのですから、あとは金額の問題だけですし、本裁判になると、私には分が悪い事もありましたので。

例えば、入居時の写真とか、退去時の写真とか、そういう「証拠」と呼べるようなものが一切ない事。
元々、争うつもりでアパートを借りていた訳ではないので、しょうがないといえばしょうがない事です。
こういう場合は、調停である程度の金額を払ってもらって和解した方が得策といえます。
つまり、A氏が提示した最高額、72,000円より1円でも多く取り返せれば
調停を申立てた意義があるという事になります。
実際には、申立て費用も掛かりますし、手間ひまも掛かりますから、最低でも1万円以上は上乗せしたいところですが。

(調停申立の詳細は別ページにあります。)




※この記事は、2003年7月にまとめたものを一部改稿したものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。


ドキュメント・退去精算金返還一年紛争 第3章


※内容的には2003年当時のままです。現在と異なる状況も考えられます。参考程度にどうぞ。

第3章
内容証明郵便での交渉



諸先輩方の事例を拝見すると、内容証明を送った段階で、ビビッて返してくれた、という大家も多いみたいなので、少しは期待して交渉を開始した私ですが、なかなかどうして、A氏も負けてはいませんね。
お金にはとことんきっちりしているようです。

内容証明の文面等は、「内容証明郵便の書き方」 を参照してください。
(※2005/01追記:サイト内検索で探してください)


住んでいたアパート名称、部屋番号、それに返還して欲しい金額や、その根拠などを記載します。
いつまでも返信を待つ訳にも行きませんから、返信の期限を設けます。

つまり、○○日以内にご返信がない場合には、この文面記載の内容に同意したものとします、という一文を添えておきます。
私の場合は10日に設定しました。


10日目ぎりぎりになって、A氏より返信が来ました。
内容証明用の原稿用紙に手書きです。(ご覧になりたい方はこちらからご連絡ください。)

要点としては、

1.私が請求通りの金額を支払った時点で契約終了により本返還請求自体が無効であるとの主張。
2.退去時精算金請求の根拠について、宅建業界の慣習であり、正当なものであるとの主張。
3.私に対して、「一方的に主張しないで欲しい」、といった文言。
4.目的を明確にしない「協議」の提案。

まあ、1と2については、向こうもいろいろ考えたり、仲介人に聞いたりして、それらしい反論をしてきた、というところでしょう。
問題なのが3と4でして、A氏は、前述している、私が最初に返還請求をしたときに設定された協議に出席せず、まるっきり退去時精算金等を返還する意思はなく、したがってA氏本人が出席して協議をする必要もないと仲介人B氏を通して私に連絡してきたにもかかわらず、「一方的に主張するな」とか、今度は「協議をしましょう」とか、まあ、よく言えたもんです。

私としては、A氏が協議に出席せず、また、返還には応じられないとしたため、和解に向けて協議する意思がないと考え、文書による返還請求を開始したのですから、協議に出席せず仲介人に協議を一任した上で、私の返還請求には一切応じないと通告してきたA氏の行為こそ一方的といえるものであると考え、その旨をA氏宛てに再度内容証明にて通知しました。

2通目の内容証明の内容の要点は、私が文書による返還交渉を開始した直後に、目的を明確にしない協議
(だいたい目的はわかっているのですが、ここでは敢えて、こういう表現とします)
の提案を通告されたことに強い不信を感じ、 A氏に対して、主張及び認識についての反論を述べ、また、進展のない協議を避けるための確認事項として、

1、 本返還請求に対して協議を行わないまま一方的に返還には応じないとしたのはA氏側であること
2、 A氏は私が請求している退去時精算金等の返還をする意思があり、A氏が提案している協議の目的は、返還金額の確定であること

の二点の認否について確認し、A氏が認めるのであれば私は本件の和解に向けて、A氏が提案する協議を受諾する、といったものです。

もう一度協議したところで、A氏が、「払わないよ」ということでの確認的意味合いの協議であるなら、私には何のメリットも無いばかりか、かえってマイナスな話し合いになってしまいますから。
この辺から、最終的には、裁判所のお世話になるようかな、という考えが芽生えてきました。

その後、私とA氏は、3回(調停のときに、「そんなにやり取りしていたの」、と調停委員に言われた位です)にわたり、内容証明郵便にて交渉しましたが、A氏は、本返還請求の中核ともいうべき、私に対する支払い意思の有無については明確な回答を避け、ひたすら自己の主張と精算方法の正当性を述べ、また、目的を明確に示さない協議の提案を繰り返し通告してくるのみで、本返還請求が進展しない重大な理由となりました。まったく、ああ言えばこう言う、のらりくらりとかわされ続けたわけです。

この間にやり取りした内容証明も公開しますので、ご覧になりたい方はこちらから。

私は、本返還請求の和解を目指し、これまでに再三、内容証明郵便により、A氏に対して退去時精算金等の返還を求めてきましたが、このままではいたずらに時間が経過するのみで、本返還請求の進展は得られないと考えました。
そこで、A氏に対し、訴訟準備に入ることを通知した上で、和解のための私からの最終提案としての『A氏が提案する協議』の受諾条件として、

 1.(支払いの意思の有無について)貴殿は、基本的に私に対し退去時精算金等を返還する意思がある。
 2.(協議の目的について)貴殿の提案する協議は、本請求に対する返還金額を決定するために行われる。但し、貴殿は、協議において、私の返還請求には一切応じない旨の主張は行わない。


の二点を提示し、この二点について認めた上で、協議を提案するのであれば、協議の日時、場所を、協議開催日の10日以上前に私の手元に届くように内容証明郵便にて通達し、私はその書面をもって、A氏がこの二点に対し認めたものとして、協議の提案を受諾する考えであることを伝えました。

この通知に対して、A氏より協議日時を指定する内容証明による通知があり、この書面により、A氏が私の主張する返還請求を基本的に認めたくれたものと認識しました。いやあ、ここまで長かったなぁ・・・
ところが、A氏はその後、都合により、協議日時の変更を申し出てきました。

なんとも、一回では済まないお人のようで。

私はこれを承認して、(既に、最初の日程で休暇を取ってしまったのですが、しょうがないですね。その辺はいやみっぽく返信してやりました。)
平成15年4月6日に仲介人の事務所にて仲介人B氏を交えて返還金額についての協議を行う事になりました。



※この記事は、2003年7月にまとめたものを一部改稿したものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。


ドキュメント・退去精算金返還一年紛争 第2章


※内容的には2003年当時のままです。現在と異なる状況も考えられます。参考程度にどうぞ。

第2章
交渉開始



既に、退去から5ヶ月が過ぎようとしていました。
ちょっと時間が掛かったような気もしますが、何かアクションを起こそうとするのには、それ相応の気合とか、準備とか、色々必要ですので、いたしかたありません。

私は、まず、賃貸契約の仲介人へ連絡し、退去時精算金等の返還を求めました。
というのも、大家であるA氏に対してお金を払った、というよりは、直接動いていた仲介人に払った、という感じが強かったので。

仲介人は、あくまで仲介人なので、返してくれるかどうかは大家であるA氏次第ですよ、と言いましたね、やっぱり。
まあ、当然でしょう。
で、仲介人が言うのには、A氏 に連絡の上、三者により、仲介人の事務所にて協議を行ってはどうか、と。
話をして、A氏が納得しなければ、もちろん返してもらえないでしょうから、私は、その案に同意し、A氏への連絡や、協議日時の決定などを仲介人に依頼して、その日は家に帰りました。

その後、決定した日時である平成14年11月9日、協議に出席するべく、私は仲介人の事務所に出向きました。
事務所に入るなり、私は、仲介人より、
「A氏は本日都合が悪く出席できないが、退去時精算金については一切返還しないとの意向であり、協議については仲介人が一任された」
旨を伝えられました。なんとも舐められたもんです。
要は、「こっちはビタ一文返すつもりはないから、Bさん、適当に相手しといてよ」って事ですからね。
もし、真剣にこちらの話を聞く姿勢があるなら、都合が悪いにしても、仲介人に任せっきりって事はないでしょうし。
別な日に替えてくれ、っていう選択肢もあったわけですし。
やれやれです。

直接あって話が出来ない以上、仕方ありませんから、仲介人B氏に話をすることになります。
私がA氏に退去時精算金等の返還を求めていることを伝えた上で、
返還を求める金額やその計算方法についての主張及び根拠を述べるとともに
「返還希望金額についての明細」と題する文書を示しました。
Aさんに見せたいので、頂いてもいいですか、との事でしたので、この文書(表)は、仲介人にあげました。

で、この表に書いてある計算方法は、あくまでも、こちらで算出した「目安」なので、
A氏が返還に応じてくれるんだったら、譲歩して、金額を下げてもいいよ、っていう話をしました。
この段階で、私の心の中に、一応の目安として、最後に振り込んだ分くらい返ってくればいいかな、っていう、「最低ライン」が出来上がりました。
この最低ラインが、今後の交渉における一つのポイントとなっていきます。

仲介人B氏は、
「では、桃さんの主張を、Aさんに伝えますから。まあ、一切返還しないっていう話でしたけど、
私のほうでも、少し考え直すように、一応説得と言いますか、やってみますから。」
と言ったような感じで、私に返答してくれました。

計算方法については、おそらく、仲介人側で算出したんでしょう、その正当性を繰り返し言ってましたね。
「この地域の宅建業界の慣習に基づいて計算してますから、不当とか、悪徳とか、そういう風に思われるのは心外だ」、と。
私としても、そういうことを言っているのではなく、払いすぎてる部分を返してくださいよ、って言ってるだけですから。
今までは、そういった、慣習による計算方法でもトラブルにならなかったんだったら、それはそれでいいでしょうし。
仲介人とか、大家が悪徳だとかって言ってる訳ではないので、返してくれればそれで万事OKですからね。

ちょっと話がそれましたが、A氏との話し合いの結果については、後日、電話にて連絡をくれることになりました。


電話を貰うまでに、結構な時間が経過していたような気がします。
今となっては、この辺の記録はしていなかったので、「記憶」に頼るしかないんですけどね。

仲介人B氏からの電話は、ある程度は予想していた答えでした。

「桃さんの主張をAさんに伝えたのですが、Aさんはやはり、退去時精算金等の返還には一切応じないとの事なんですよ、
一度、納得して支払ったのだから、それで契約終了だろう、っていう話です」

なるほどね。まあ、模範解答でしょうね。

ここでのポイントは二つ。
ひとつは、「納得して支払った」訳ではないこと。
払わなくてはいけないのかな、と思ったから、仕方なく払ったまでです。
もう一つが、「契約が終了している」事は、この返還交渉には関係ないんじゃないの?って事です。
このことについて、詳しくは後述しますが、A氏は、最後の最後まで、この「契約が終了してるんだから、返還交渉自体が無効」説を言い続けてました。

話し合いにも来ない、こちらの主張を伝えてもらっても一切応じない、と来たら、
あとは、文書により、直接交渉を始めるしかありません。
文書でやらないと、後々、「言った」、「言わなかった」でもめる原因になりますから。

直接交渉には内容証明郵便を使うことになります。



※この記事は、2003年7月にまとめたものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。


ドキュメント・退去精算金返還一年紛争 第1章


※内容的には2003年当時のままです。現在と異なる状況も考えられます。参考程度にどうぞ。

第1章
支払わなければよかった!
 

私は、平成4年の7月に今回の舞台となるA氏の母親が経営するアパートに新築直後に敷金52,000円を預ける等の賃貸借契約をして入居しました。

約9年10ヶ月の入居の後、私は平成14年5月20日にこのアパートを退去しました。
この時の賃貸借契約書には、退去時における敷金の取り扱いや、原状回復の解釈について明確な記載はまだありませんでした。
もっとも、いわゆる敷金トラブルが表面化してきたのは最近のことですから、当然と言えば当然です。

私が退去した平成14年5月20日に、賃貸契約の仲介者である、「○○○○  ○○支店」(以下仲介人)担当者により、現状の確認が行われ、同担当者立ち会いの元で鍵を返却し、同住宅を引き渡しました。
その際に、仲介人の要請により、本賃貸借契約書を仲介人へ返却しました。
既に終了した契約書なので、こちらで処分する、との事でした。
今思えば、こういう書類は、渡すべきではなかったのですが。


こうして、約10年住んだアパートに別れを告げた訳ですが、このときの考えとしては、まあ、多少費用は掛かるかもしれないけど、そんなに大きい額ではないだろうな、って感じでした。


ところが・・・


賃貸人であるA氏の母親は、5月31日に仲介人を通じて、貸室の清掃及び各種工事との名目(以下、退去時精算金等)にて、183,750円を私に請求し、敷金及び平成14年5月分の日割り家賃の残額をこの支払いに充てるとした上で、更に不足分である115,750円の支払いを求めてきました。
名義上は、A氏の母親所有となっているこのアパートですが、入居当時はお元気だったA氏の母親も、その後、高齢のため若干痴呆症状も出てきてしまったとの事で、 実際は、息子であるA氏が経営の実務を行っています。

ビックリしましたね、この金額には。
私は、当然この請求金額及び精算方法に納得がいかないため、A氏(正確には、A氏の母親ですが、実務をA氏が継承しているので、今後、A氏とします)
対する支払いを留保して、ちょっと考えてみました。

「こんなに支払う必要があるのかな?」と。

しかし、請求を受けた平成14年5月31日時点において、この計算方法を不当とする明確な根拠を得ることが出来ず、また、仲介人を通し、A氏側より退去時精算金の督促を受けたため、不本意ながら請求どおり支払うことにして、直接持っていきましょうか、と電話しました。
すると、A氏側は「振込みで」との意向でしたので、 平成14年7月1日に指定する口座宛て送金しました。

でも、この支払いは前述の通り請求金額及び精算方法に納得した上で積極的に支払ったものではありません。
支払いたくないけど、A氏から「あなたが支払う必要があります」、と言われたから、仕方なく支払ったのです。
これがポイントになります。

私は、一旦はA氏の請求通りに退去時精算金等を支払いましたが、請求金額及び精算方法の有効性について不審な点があると考え、民法、および本件と類似する過去の判例、事例等、また、国土交通省住宅局が示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を独自に調査しました。


ここでは、Webが大変役立ちました。
同様な事例が出てくること、出てくること。
諸先輩方(?)の体験談、または、裁判での判例などなど、調べれば調べるほど、私が支払ったお金は、本来支払わなくても良かったんだ、と思い知らされました。
うーん、悔しい!

で、その結果、A氏が私に対して行った請求及び精算方法は、不当に過大なものであったと認識するに至り、A氏に支払った退去時精算金等のうち、本来、入居者である私の責により支払うべき金額を差し引いた残額の返還を請求することにしました。



※この記事は、2003年7月にまとめたものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。


払わなくていいものは返してもらいましょう。


世の中に、アパート暮らしの人は大勢います。
そのすべての人が、入居時に敷金、礼金などを支払い、また、毎月家賃を納めて住んでいる訳です。

そして、何らかの理由により、アパートを出るときがやってきます。

そのときに問題となるのが、いわゆる「敷金返還」についてです。
ここ数年は、マスコミ等で取り上げられる機会も多くなり、社会問題化しつつあるようです。

Webにおいても、敷金返還に至るまでを詳細に公開してくれているところも多数あります。
ですが、そのほとんどは、大家に支払う前に調停なり、裁判なりで、「支払わなくてもよい」(つまり、大家に預けてある敷金を返してもらえる)という判決を貰う、といったものでして、敷金のほかに、修繕費用の不足分を請求されて、請求通りに一旦払ってしまった後で、「しまった!」と思い、本来は払わなくてもよかった分を返してくださいよ、と返還請求をした事例の報告は、ほとんどありません。

そこで、不肖、私が、一旦払ってしまった精算金を、たいした証拠もないという不利な状況から調停申立てを経て、請求額の約6割強取り返した記録と記憶を公開いたします。

(具体的には、支払総額 183.750円、返還請求金額 142.530円、調停成立による返還確定額 90.000円) 


一旦支払いを済ませた後、「あれ?」と感じているあなた、既に支払を済ませてしまったからといって諦めていませんか?
支払ってしまった後でも問題ありません。諦めないで頑張りましょう 。
必ず取り返せます。

払わなくていい物は、返してもらいましょう。


※この記事は、2003年7月にまとめたものです。あくまで当時の記録としてご覧ください。

退去時精算金返還調停

もうずいぶん時が流れてしまいました。

以前、10年ほどアパート暮らしをしておりました。
その後、そのアパートから退去して、現在の住まいに移ってきたわけなのですが、
その際に、いわゆる「敷金トラブル」を経験しました。

その体験をドキュメント形式で文章に起こしたものをWebで公開しておりました。

当時はまだ、敷金を含む『退去時精算金』や、借りていた物件の『原状回復』などに関する情報も、事例も少なく、同じトラブルに巻き込まれてしまった人のために、という観点と、自分自身の闘いの記録として、記憶が鮮明なうちに書き留めておきたかったのと。
まあ、そんな理由からまとめたものです。

同じ状況になってしまった方から問い合わせを受けたり、アドバイスしたりで、それなりにお役に立った感はありました。

今となっては、すでに過去のものとなってしまっていますので、現在の判例はどういう流れになっているのか、また、実際の調停の流れが当時と同じなのか、変わってしまったのか、私には知る由もありません。
自分の調停終了後も引き続きほかの事例をウォッチしていたわけでもありませんし、あんな嫌な思いは一生のうち一回で充分ですし。
つまり、現在でも通じる内容なのかどうかは、一切責任が持てない文章なわけです。

ですが、それほど遠くない過去の、ノンフィクション歴史小説だと割り切れば、そこそこ大作です。駄文ではありますけど。

ということで、あくまで『過去の文章』であるという前置き付きで、良かったらご覧ください。