2009年4月16日木曜日

FIS/SAJ ポイント制について。

スキー競技を始めると、ポイントと付き合っていくことになります。
スキー競技におけるポイント制について、ここにまとめておくことにします。

なぜポイント制なのか?

スキー競技は、陸上競技などの『規格で定められた競技場』で行う競技と違って、たとえ同じコースを使用したとしても、雪のコンディションやポールセットに強く影響される競技です。
同じコースで行われるレースであっても、毎回タイムレンジが大きく変化するので、タイムをそのままコースレコードといったような評価基準には出来ません。
このために、出場選手のレベル、トップの選手とのタイム差などから求められるポイント制を使用する訳です。

ちなみに、ポイントが少なければ少ないほど速い選手という事になります。

簡単に言うと、

「速い選手と同じレースに出場して、なるべく離されない(なるべくいいタイムを出す)」

と、ポイントが減っていきます。もちろん、自分がトップなら最高の成績で、ポイントは0です。
これを選手強化や選手自身の自己評価のために活用するわけです。

SAJが管理するものをSAJポイント、FISが管理するものをFISポイントと呼びます。
国内で開催されるFISレースは全てSAJポイントレースも兼ねています。

小学生は県連でのポイントになり、中学生からはSAJポイントに移行します。



レースポイント

1位を獲得した選手を0.00とし、1位とのタイム差とF値を使って算出します。
回転、大回転、スーパーG、ダウンヒルはそれぞれ平均速度も異なり、計測タイム1秒の重みが異なります。
これらの競技による時間の重みを表すものが、F値(Factor)と呼ばれる係数です。
GSだと880とか、SLだと600とかいう数字がそうです。

計測タイムは秒に換算されたあと、以下のように計算に用います。


1位の選手計測タイム:To
算出したい選手の計測タイム:Tx
レースポイント:P
F値:F


計算式 P = F × Tx ÷ To - F

又は P = (Tx ÷ To - 1)×F



簡易型計算ツールを作ってみました。

こちらからどうぞ。



ペナルティーポイント

そのレースで1位を獲得した選手が、ポイントリストの中でどの辺りに該当するのか、つまりそのレースがSAJ/FISポイント全体の中でどのくらいのレベルのレースだったのかを示すのがペナルティポイントです。
データバンクでの評価ポイントはペナルティポイントとレースポイントを足したもので行われます。

ペナルティポイントは
1. レース結果で10位以内に入った選手のうち、所持ポイント上位5選手
2. 1本目のスタートゲートを通過したポイント上位5選手の最新リスト掲載ポイント
3. 上の2.の選手のレースポイント(の開き)
この3要素からペナルティポイントを算出します。

当該レース出場選手中、

当該レース上位10選手のうち、リスト掲載ポイント上位5選手のポイント合計を(A)
当該レース前の時点でのリスト掲載ポイント順位上位5人のポイント合計を(B)
当該レースでの上位5選手のレースポイント合計を(C)としたとき、

(A) + (B) - (C) ÷ 10

で求めた数字を基準とします。

そのレースに出場した選手の中で、上位5人の選手が、そのレースでどのくらいの成績を収めたか、
ということを数字にしているわけです。

このとき、(A)の合計、(B) の合計がSAJで定めたマックスペナルティー(GS=200、SL=145とか)より大きければ、マックスペナルティーが(A)、(B) の値となります。
そのほかにもいくつか算出の約束事があります。

ちょっとややこしいですが、こちらも簡易型計算ツールを作ってみました。

簡易版ペナルティーポイント計算ツール






ポイント計算例


初めてSAJ競技者登録を行った桃選手を例にして、実際のポイント計算をやってみます。
あくまで『例』なので、ポイント数値はかなり適当です。


初めてのリスト、リスト№1に記載される

この段階での桃選手はルーキーですので、リストではポイントなし=ノーポイントとして記載されています。デビュー戦で完走を果たし、レースポイント300.00とペナルティポイント50.00を得ました。この時点でのポイントは300.00+50.00=350.00となります。
このレース後、ポイントリストが更新されました。

リスト№2に記載される

ノーポイントの選手は999.99を前節ポイントとして計算しますので、
桃選手の場合は (999.99 + 350.00) ÷ 2= 674.99 がリスト№2に記載されました。

その後、甲大会、乙大会、丙大会の3回の大会に出場して完走し、
甲大会で650.00+35.00 = 685.00
乙大会で350.00+50.00 = 400.00
丙大会で250.00+30.00 = 280.00
という評価ポイントを得ました。

リスト№3に記載される

今回の更新では、前節ポイント649.99に対して、それより良好な評価ポイントが400.00と280.00の2つあります。
前節ポイントより大きい685.00は計算対象になりませんから除外します。
この場合は、前節ポイントは用いず評価ポイント2つを用いて算出します。
乙大会での400.00と、丙大会での280.00が適用になります。
(400.00 + 280.00)÷ 2= 340.00
となり、新しいリストでのポイントは340.00になりました。

その後さらに2回の大会に出場しました。

A大会では300.00+70.00 = 370.00
B大会では320.00+40.00 = 360.00
という結果となり、現在のリストに記載されている340.00より上回る成績は残せませんでした。

リスト№4に記載される

今節は前節での所持ポイント340.00より良好なポイントはありませんでしたので、リストには前節ポイントがそのまま記載されます。340.00のままです。

このように現所持ポイントより評価ポイントが良いもののみ計算に用いられ、算定期間中それが1つだけの場合は現所持ポイントと評価ポイント、2つ以上ある場合には良好な2つを用います。

桃選手がさらに練習を積んで、1位の選手に近づいていくとぐんぐんポイントが下がっていきます。ですが、現所持ポイントより良好なものが1つもなければ、現所持ポイントがそのまま引き継がれます。
ポイントを下げるためには、自分も成長しなくてはなりません。

リスト№5に記載される

次のレースでは100.00+40.00 = 140.00
そしてその次のレースでついに優勝しました。0.00+30.00 = 30.00

(140.00 + 30.00) ÷ 2 = 85.00

となりましたので、次のリストでは順位がぐ~んと上がりそうです。


『現在の掲載ポイントに、それよりもいい成績を収めたレースでのポイントを加えて、2で割る』

とりあえず、わかる範囲でまとめてみましたが、間違い等ありましたらご指摘ください。
随時修正していきたいと思います。