数か月連続で上昇中だった住宅ローン金利ですが、指標となる長期金利の緩やかな下降傾向を受けて今月は0.1%から0.05%程度、わずかですが下がったようです。
とはいえ、6月の金利よりは高く、7月の金利よりは低い、という微妙な動きです。
6月から7月は0.15%~0.20%程度一気に上昇してしまいましたが、その半分程度は金利が下がった形です。
7月に新規で融資を実行された方には何とも悔しい結果となりました。
住宅ローン金利の指標となる長期金利の7月の動向です。
高金利で推移した6月末からじわじわ下がり始め、一度上昇傾向も見せましたが、その後はまた低金利での推移となっています。
この傾向を受けて、8月の長期金利の推移としては、たとえ上がっても1.75%程度ではないか、つまり、9月からの住宅ローン金利も7月の金利と6月の金利の中間で推移するのではないか、というという予測がなりたちます。
ということは、9月に入っても、金利据え置きか、上がったとしても小幅な金利上昇かと思われますが、さらにその先となるとやはり不透明ですので、各自、慎重な『読み』が必要になってきます。
長期金利についてのお勉強をしてみたい、という方は続きをどうぞ。
長期金利についてのおさらいをしておきたいと思います。
長期金利を左右する「予想」
長期資金の需要・供給は、具体的にはどういった要因に影響されて、長期金利を形成するのでしょうか。
いろいろな要因がありますが、重要なものの1つが将来の短期金利の推移や物価変動(インフレ、デフレ)、長期資金を投じて行う設備投資の収益などについての「予想」なのです。
「予想」がどのようにして長期金利を左右するのか、1つの例をお示しします。
皆さんの手許に、10年位は使わずに取っておこうと思っているお金があって、これを10年満期の債券に投資するか、それとも1年物定期預金を10回繰り返すか、を思案している時のことをお考え下さい。
── なお、ここでいう10年の債券については、今売られている10年国債のように、10年間の毎年の利息が確定している、つまり、発行されてから他の金利がいくら上下してもその債券の利息は不変、そういうもの(固定金利の債券)を想定して下さい。
まず、現在、債券の利息は年2%で、1年物定期預金金利が1%とします。
どちらに投資するかを決めるに当たっては、途中で換金しなければならない時の手軽さや金融機関店舗までの距離なども関係するでしょうけれども、大きな要因の1つが10年間の利息はどっちが多いか、であることは間違いないですね。
ここではこの点に絞って考えることと致しましょう。
ここまでポイントを絞ってもまだ色々なケースが考えられますが、次のような2つのケースだけを取り出して比べてみましょう。
(1) 今後10年間は大したインフレも起こらず、世の中の金利は安定していて、1年物定期はほぼ間違いなく2%以下で推移すると予想される場合(物価安定予想のケース)
((2) 今後インフレが始まって、1年物定期預金金利も数年後には例えば7%位まで上がると予想される場合(インフレ昂進予想のケース)
さあ、皆さんは、どちらの場合に債券で貯金しようと思いますか。
(1)の物価安定予想のケースなら、ほぼ間違いなく、毎年、債券の利息(2%)の方が定期預金の利息より多いですね。
他方、(2)のインフレ昂進予想のケースでは、定期預金の利息(もしかしたら7%)の方が債券の利息より多い年もありそうですね。
そうなれば、(1)の場合の方が債券がよく売れる(=長期資金の供給が多くなる)でしょう。
つまり、物価安定予想が支配的な時の方が、債券がよく売れて高い値がつく、すなわち、長期金利は低いのです。
逆に、インフレ昂進予想がある時は、債券が売れないから値が低い、すなわち長期金利は高いのです。
このように、長期金利は、今後の長期間にわたるインフレ、デフレや短期の金利に関する予想(金融の専門家は「予想」の代わりに「期待」という言い方をします)などに大きく左右されます。
「インフレ期待は長期金利を高くする」、「物価安定期待は長期金利を低くする」、「設備投資の期待収益率が上がれば長期金利も上がる」ということです。
ここで大変大事なことは、長期金利というものは、(2)のインフレ昂進予想のケースのように(まだインフレになっていないのに)「予想」(期待)が変化した時点で「直ちに」変動するということです。
すなわち、長期金利には、将来の変化を先取りする性質があるのです。
ですから、長期金利をコントロールしようとする場合、そうした試み自体が人々の「予想」(期待)を変えるか変えないのか、慎重に見極めなければなりません。
また、長期金利の動きをよく見て、それが将来のどういう変化を先取りしているのか、どういう「期待」を「市場」が持っているか、を考えることが大切であるとも言えるわけです。
日本銀行【長期金利の決まり方......将来の「予想」が大事(http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku/expchokinri.htm)】より引用
専門家でも非常に読みずらいことですので、我々素人の予想なんて限界が低いのですが、
それでも仕組みを知っているのと知らないのではかなり違いますからね。
借金しないで済む人たちが羨ましい限りです・・・・・